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Hult MBA 振り返り① 〜Fallセメスター ドバイキャンパスでのチャレンジングな最初の1.5ヶ月〜

みなさん、こんにちは!Miino.です。

まず簡単に自己紹介をさせてください。私は元々、日本国内でITエンジニア、プロジェクトマネージャー、コンサルタントとして15年以上のキャリアを積んできました。但し、海外留学経験もない、駐在経験もない純ドメで、四苦八苦しながら仕事で英語コミュニケーションは行っていました。そして更なる自己成長と海外人材市場での価値向上を目指し、2023年10月から所謂海外ビジネススクールのHult International Business SchoolのMBAに挑戦することを決意しました。

なぜMBAを目指したのか? きっかけは、たまたま手にした週刊ビジネス誌でHult卒業生の記事を読んだことでした。グローバルな環境で学び、異文化コミュニケーション能力を向上させたい、そして将来のキャリアの選択肢を広げたいという元々持っていた思いを、この記事で一気に行動に移すきっかけとなりました。

また、元々中東諸国やアラブ圏に興味を持っていたため、ドバイキャンパスを提供しているこのビジネススクールを選択することになりました。そして10か月間というプログラムも魅力的でした。多くのビジネススクールが2年間であるため、時間的・金銭的に見ても魅力に映りました。そして実践的なプログラムと聞いていたため、卒業後にすぐに現場で適用可能ではないかと考えました。

想定読者の皆さん この記事は、MBA留学を検討されている方、特にHultやドバイでの学習に興味をお持ちの方、そして実際の科目内容や現地生活のリアルな体験談を知りたい方に向けて書いています。

より科目の具体的な内容にフォーカスしていきたいと思います。 「実際の科目ではどんなことを学ぶの?」「教授やクラスメートとの関係は?」「ドバイでの生活ってどうなの?」といった疑問にお答えできるよう、より具体的な学習体験をシェアしていきます。ネタバレしすぎないように配慮はしております。

今回は、MBA 10ヶ月間のジャーニー(3セメスターで各2ブロックに分割)を科目ごとに振り返るシリーズの第一弾として、FallセメスターのFall1ブロック(2023年10月〜11月中旬)のリアルな体験をお届けします。Fall2(11月中旬〜12月下旬)、Spring1&2(2024年1月~4月末)、Summer1&2(2024年5月~7月末)についても順次公開予定ですので、ぜひお楽しみに!

このシリーズの目的

このシリーズでは以下を目的としています:

  1. 私自身の学習記録を残す – 後から振り返れる学びの軌跡として
  2. 今後Hultに入学される方への情報提供 – 各科目の実際のイメージを持ってもらうため
  3. プログラムの具体的な内容の共有 – カリキュラムの魅力や挑戦を具体的に伝えるため

各科目について、Key Takeaways(主な学び)と個人的な感想・体験を交えながら、できるだけリアルにお伝えしていきます。

Fall1ブロックの全体的な印象:サバイバル期間

最初の1.5か月は正直に言うと、「サバイバル期間」でした。アッサラーム・アレイクム!(アラビア語でこんにちは)という挨拶から始まったドバイでの新生活。プログラムがついにスタートし、新しい環境への期待もありましたが、英語コミュニケーションの大きなチャレンジに直面し、不安の中で進んでいった時期でもあります。

帰国子女でもない、海外駐在経験もなく、ましてや中東という場所で知り合いもいない中、とにかくすべてのことにアジャストする必要があり、日々模索しながらサバイブしていました!慣れない英語コミュニケーション環境では、理解することも自分を表現することも非常にチャレンジングで、最初の2ヶ月は「やばい何言っているか全くわからない。癖の強い聞いたこともない英語だ」という状態でした。

しかし、この経験があったからこそ、その後の成長につながったと確信しています。また、キャンパスライフでは特に素晴らしい仲間たちと教授陣のサポートにより、徐々に「心理的安全スペース」が構築されていきました。

<スタート時のオリエンテーション受付の様子>
学長含めてスタッフ陣も全員ウェルカムの雰囲気でとても温かく迎えてくれました

Fall1 科目別振り返り

#1 Program Immersion

担当教授: Dean Namrath, Jake, Merchel ほか

Key Takeaways:

  • Academic Writing: APA7フォーマットの重要性とAIとの適切な関わり方を学習
  • Hult DNA: Hult独自の価値観「Thinking」「Communicating」「Team Building」を理解し、自分の学習スタイルに組み込む方法を模索
  • Discussion Skills: ディスカッションのための準備の価値(ユーモアも含む)と個人の意見を表現することの難しさを実感

感想・体験: 「プログラムがついに始まった!」という興奮よりも、正直「やばい、何も理解できない」という不安感の方が強かったのが本音です。特に強いアクセントやマシンガンのようなスピードで話す、クラスメートとのコミュニケーションは想像以上にチャレンジングでした。

しかし、チームメンバーの温かいサポートに深く感謝しています。最初のビデオプロジェクトを成功させることができたときは、「これならやっていけるかも」という大きな達成感を感じました。

#2 Personal Development

担当教授: Dr. Amanda Nimon-Peters

Key Takeaways:

  • Incremental Mindset: 「才能がない」という言い訳(Fixed Mindset)を排除し、失敗から学び、ポジティブな姿勢で継続的に前進することの重要性
  • Deliberate Practice: 困難を避けるのではなく積極的に受け入れ、近道を取らずに自分を追い込むことの価値
  • Self-Awareness: 真のリーダーになるためには、まず自己認識を深め、自分の強みと弱みの両方を理解する必要があることを学習

感想・体験: プログラム開始時にDr. Amandaと出会い、この科目を受講することで、10ヶ月間のジャーニーの基盤を築くことができました。この時期に作成したPersonal SWOTは、その後の方向性を決める上で大変役立ちました。

特に自己対話の必要性を強く実感しました。この期間にIncremental MindsetとDeliberate Practiceの考え方と行動習慣を身につけることができ、これが後の学習における重要なステップとなりました。

#3 Marketing Strategy

担当教授: Prof. Fauzia Jabeen

Key Takeaways:

  • Necessity of Sustainability: マーケティングにおいて持続可能性が重要な要素であることを深く理解
  • Customer Connection: マーケティングは顧客価値の創造から始まり、長期的な関係構築を目指すプロセスであることを学習
  • Marketing Mix: 4P(Product/Price/Place/Promotion)を中心としたフレームワークで効果を最大化するアプローチを習得

感想・体験: この科目は、私にとって初めてマーケティングを体系的に学ぶ経験でした。ビジネスキャリアを通じて実務的なマーケティング計画を作成する機会を得られたことはとても有意義でした。

最初のチームプレゼンテーションは、仲間から学ぶ絶好の機会でもありました。自分の弱点を認識し、戦略的にクリアで影響力のあるプレゼンテーションを強い声で行うことができるようになりました。

#4 Accounting for Managers

担当教授: Prof. Mufeed Rawashdeh

Key Takeaways:

  • PitchBook Analysis: 実際の企業の財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)を使ったPitchBookデータによる財務分析手法を習得
  • Decision-Making Tool: 効果的な企業意思決定のために、財務情報を正しく分析・理解するマネージャーとしての洞察力を向上
  • Financial Statement Integration: ビジネス活動が財務諸表にどのように反映されるか、およびそれらの相互関係についての理解を深化

感想・体験: 数多くの専門用語の中を進んでいく中で、慣れ親しんだ日本の簿記用語に置き換えることで理解を深める工夫をしました。これは後に他の科目でも応用できる重要な学習戦略となりました。

課題を通じて、PitchBookなどに公開されている実際の企業の財務分析ができるようになったことを嬉しく思います。Prof. Mufeedの具体的で明確な説明は、この科目のハイライトでした!

簿記の知識はありましたが、グロービスの以下の本で事前に勉強していたのも役に立ちました。不安がある方はぜひ事前の学習をお勧めします。

#5 Business Challenge I

担当教授: Dr. Amanda Nimon-Peters

Key Takeaways:

  • Joy of Team Collaboration: チームワークによってのみ達成可能な活動の独特な喜びを体験
  • Integrated Skills: 会計、マーケティング、リーダーシップなど、包括的な知識セットを企業の意思決定に活用する実践的経験を獲得
  • BSC Improvement: 財務指標と顧客、内部プロセス、成長の観点をバランス良く考慮したホリスティックな意思決定の重要性を理解

感想・体験: シミュレーションシステムを使った4日間のチーム活動は爽快でした!時間に追われながら、不完全な情報の中で働き、チームのコンセンサスを構築するという意思決定プロセスのダイナミズムは本当に楽しいものでした。

私は、これまでのコンサルタントの経験を活かし、より広い視点を維持し、メンバーの議論を観察し、ホワイトボードで情報を整理することで貢献し、プロセス全体を通じて明確な記録を保つことを確実にしました。

ドバイ生活の現実

Fall1期間中のドバイ生活についても触れておきたいと思います。オリエン前の約2週間前の9月下旬にドバイ入りし、3週間ほどの経験をもとに、衣食住+気候の観点で記載します。

: 学外では基本半袖短パンで生活(キャンパスはビジネスカジュアル必須)。モールやメトロなど屋内のエアコンが強く、寒暖のギャップが激しいため、常に長袖を持参。

: カルフールをはじめ大小のスーパーが充実しているが、価格は全体的に日本より高め。特にモール内のレストランは予想以上に高価格。

: キャンパスまで徒歩+メトロで30分のシェアハウスに居住。アパート探しが最も苦労した点で、WebサイトやアプリからWebだけでは決められず、現地内覧を経て決定。

気候: 10月でも日中は37-40度。日傘、帽子、サングラス、水は必須。砂漠の砂を含んだねっとりとした熱風が中東らしさを感じさせる。

<Dubai Marinaエリアの歩行者専用道路、朝の散歩コースとして最適>

Fall1初期の挑戦と気づき

この1.5ヶ月間(10月初旬〜11月中旬)で直面した主な挑戦と初期の気づきをまとめます:

語学面での苦労

最初の2週間は本当に厳しい状況でした。Day2には思わずDeanに「何を言っているか全然わからなくて今後が不安です」と相談したほどです。クラスメートの多様なアクセントや専門用語に圧倒され、発言のタイミングも掴めない状態が続きました。

学習スタイルの模索

日本での学習方法とは全く異なるアプローチが求められ、土日を含めてキャンパスで過ごす時間が大幅に増えました。特にチームワークベースの課題では、自分の役割を見つけることに苦労しました。

生活面での適応

ドバイの気候(日中37-40度)や文化的違いへの適応、シェアハウス探しなど、学習以外の生活基盤を整えることにも多くの時間とエネルギーを費やしました。

Fall1を振り返って

この1.5ヶ月間(10月初旬〜11月中旬)は、まさに「初期適応期間」でした。新しい環境、新しい学習スタイル、そして何より英語でのコミュニケーションという大きな挑戦の始まりでした。

英語コミュニケーションの状況: この時期はまだ「負のスパイラル」の真っ只中で、理解度も発言力も十分ではありませんでした。しかし、チームメンバーや教授陣の温かいサポートにより、徐々に「心理的安全スペース」が構築され始めた重要な期間でもありました。

各科目で得られた学びは、まだ完全に消化しきれていない部分もありましたが、確実に今後の学習の基盤となる重要な要素を含んでいました。特に、Dr. Amandaから学んだマインドセットの基礎は、この後のFall2以降で本格的に活用されることになります。

また、ドバイの「物理的安全スペース」での生活にも徐々に慣れ始め、中東文化への理解も深まってきた時期でした。アラビアンダンスやディナーパーティーなどの文化的体験は、この新しい環境への親しみを深める貴重な機会となりました。

<記念すべきチームメンバーとのチームチャレンジ後の一枚>

写真で振り返るFall1

<初日のオリエン受付の様子>
様々な国・地域から来た仲間たちと初対面

<中東の伝統的な料理が並ぶディナーパーティー>
どれもおいしく、文化的な理解も深まりました

<全員でアラビアンダンスを楽しむ様子>
有志でのダンスも大盛り上がりでした

次回は、Fall2での学びについてお伝えする予定です。異なる専門的な科目が登場し、チームワークもさらに深化していく期間の体験をシェアしたいと思います。

今回の記事が、これからHultに挑戦される方や現在受講中の方の参考になれば幸いです。ドバイキャンパスでの「サバイバル」から「成長」への転換点となったFall1の体験が、皆さんの心の準備に少しでも役立てば嬉しく思います。

それでは、また次回のブログでお会いしましょう!