書評

5分で分かる「論語と算盤」➀ ~渋沢栄一へ敬愛の念を込めて~

皆さんご存じの「近代日本の設計者の一人」と言われる偉人の渋沢栄一の「現代語訳 論語と算盤」について記載します。理論と実践の両観点で示唆に富む内容が多く非常に学びが多く、本を読んで本当に良かったです。
章ごとのまとめと明日の仕事からどう活かすかという観点でまとめてみました。

参考書籍:現代語訳 論語と算盤 (ちくま新書) 渋沢 栄一

本書は全10章から成り立っています。

第1章:処世と信条
第2章:立志と学問
第3章:常識と習慣
第4章:仁義と富貴
第5章:理想と迷信
第6章:人格と修養
第7章:算盤と権利
第8章:実業と士道
第9章:教育と情誼
第10章:成敗と運命

早速まとめです。

第1章:処世と信条 

時には人と争うことも躊躇わない強い意志や思いが必要だが、成り行きや時期を待つ心がけも必要。またお互いに信頼し、自分も奢らないことが大切。少し成功したからと言って調子に乗らないこと。自分の本分を知り、身の丈に合わせた行動をとることが重要。

⇒日々の仕事では、自分の主張や考えを周りと調整せず、自分勝手に進めないようにすること。自身の思いや意見を持つことは良いですが、異なる意見もあることを念頭に置きましょう。そしてチームで仕事をすることを意識して周りに配慮しながら対応することが肝要ですね。同期に先を越されて大きなプロジェクトにアサインされたとしても腐らず焦らず、時期を待つ泰然自若とした態度も必要。
 実力が付き、成果が出てきても、様々な依頼が来て、やったことのないものに対しても勇気をもって断るなど身の丈に合わせた行動も必要だと言えます。

第2章:立志と学問

”大きな志”と”小さな志”を立てることが重要。大きな志は、一生を賭けて貫く人生の目的・目標である。小さな志は、大きな志の中間地点、若しくは日々の行動目標である。ここで小さな志は、大きな志と矛盾なきように調整する。

⇒日々の仕事で応用するならば、今取り組んでいる仕事やプロジェクトにおける自分の目標は何か(○○を達成する、○○の知識を得る)。その大きな目標を達成するためには、中間地点でどうなっていないといけないのか、日々何をしなくてはいけないのか行動にかみ砕いていくことですね。

 例)大きな志:○○業界の第一人者になり、業界発展に貢献し続ける
   小さな志:〇〇業界での実績を□年積む、このPJを通じ社内で〇〇業界エキスパートとして認められる
        ⇒(もう少し砕いて日々の活動に落とし込んでいく必要があります)

第3章:常識と習慣

本書でいう、”常識”とは一般的な人情に通じ、世間の考え方を理解し、物事をうまく処理する能力と定義。”智・情・意”の3つをバランスを保って均等に成長すると常識となる。”習慣”(良い習慣も悪い習慣も)は他人に感染しやすいので自身の振る舞いには要注意。

⇒日々、知識やスキル(智(知恵))アップだけに傾倒しないで、常に感情コントール(意(意志))をしながら、チームメンバーや取引先のメンバーに敬意と思いやりの気持ち(情(情愛))でコミュニケーションをとることが大切ですね。自分が良い習慣を行って周りに伝染させてさらに良くしていくことも大切ですが、自分の悪い習慣が周りに伝染してしまうことも注意して日々の言動や行動をチェックしていき修正していくとよいと思います。

第4章:仁義と富貴

正しい道を踏んでまっとうな方法で金儲けをすることが重要。(金儲け自体が悪いとは言っていない)またお金は社会の力を表す大切な道具であり、お金を集めるだけではなく、いかに社会のために使っていくかが重要である。お金の扱い方を決めるのはその人の人格である。

⇒今対応している仕事において、上司はいいというが、本当に会社のルールやコンプライアンスに沿っているのだろうかと考える姿勢が大切ですね。(特に契約や経理処理など、)そこでグレーやおかしいと感じれば、社内のヘルプラインや信頼できる上司にまずは相談してみる行動も必要だと思います。
また、FIRE目指して稼いだお金の大半を投資に回す考えや行動は否定しませんが、「自己投資をして、自身の能力を向上させ成果を出しさらに社会に還元していく」、「今困っている人や組織を助けるために寄付をする」というお金の使い方もありますね。浪費・消費・投資のうち、極力浪費を減らして投資(自己・他者)を増やしていけると良いですね。

第5章:理想と迷信

一日を新たな気持ちで、という心がけを大切に、趣味(熱い思い・ワクワク感・好きであるという気持ち)をもって物事に取り組む。道徳の根本は、科学の進歩のようには変化はしない。道理のない迷信・信仰に騙されないように信念を持つ大切さ。

⇒結局は、今やっていることをどれだけ楽しめるか・没頭できるかでそのやっていることの品質や成果は大きく変わりますよね。日々の仕事もどうしたら楽しくなるかを考えて行動することが最も大切だと思います。
また1日は、1年1/365の1日ではなく、1日×365日=1年である、つまり、一日一日の積み重ねが一年を作り、人生を作っていく。このことを念頭に、毎日を大切に、新たな気持ちで過ごすことがとても大切ですね。

少々長くなってきたので、第六章以降に続きます。⇒こちら