2023年9月~2024年8月の、約1年間のドバイ生活とインターナショナルビジネススクール(ドバイキャンパス)でのMBAプログラムを通じて得られた3つについて記載します。本記事は主に、海外ビジネススクールやMENAに興味を持つ日本人の方を対象としています。
得られた三つのもの
①卒業後も相互に協力し合える世界中の友人やネットワーク
②異なるバックグランド・異文化の人たちとのコミュニケーションをする自信
③MENAに関するニュースやインターネットだけでは得られない生の体験
以下は、この3点の具体的な変化(Before / After)
得られたもの | Before | After |
①ネットワーク | 日本/日本人中心 | 海外/日本人以外が構築・拡大 |
②異文化コミュニケーションの自信 | コミュニケーションとるのが億劫(抵抗が強い) | コミュニケーションをとるのに支障が少ない(抵抗が弱い) |
③MENA体験 | 遠い国の活字や映像としての情報(二次情報) | 五感を使った体験・経験(一次情報) |
私のバックグラウンド
海外留学や駐在の経験はなく、短期の海外出張を数回経験しているのみです。国内大手SIerに14年、その後大手コンサルファームに3年勤務し、好奇心とチャレンジに突き動かされ、退職し、Hult International Business School(ドバイキャンパス)に入学しました。英語に関しては、プロジェクト等で自社、又は顧客の海外部門との最低限のビジネスコミュニケーション経験(ミーティング、ドキュメント作成、E-mail等)があります。
これらの3点は、個人の目的や経験によって異なる可能性があります。一個人の体験談としてお読みください。
①卒業後も相互に協力し合える世界中の友人やネットワーク
10か月間のMBAプログラムの中でも、特に最初の半年は濃密な時間を過ごしました。毎日キャンパスで顔を合わせるコホートメンバー(約50人強、日本人は私を含め僅か2名!)とは自然と親密になり、クラスやチームアクティビティ、オフキャンパスイベントを通じてお互いをよく知り合えました。
興味深いことに、海外では「全員が自分とは大きく異なる」という日本人特有の思い込みが、逆に多様性への許容度を高める効果をもたらしたと感じます。ここでは、日本人がよく気にする国籍や年齢といった壁は存在せず、それらは単なる個性の一部として捉えられています。お陰で私は、多くのクラスメートより年上でしたが、よい意味で全く気になりませんでした!
さらに、同じコホート以外の学生や他キャンパスからの参加者とも交流する機会が多くありました。これらの交流を通じて、想像以上に幅広いネットワークを構築できたと感じています。卒業後の進路は様々ですが、このグローバルネットワークは今後も継続し、大きな価値を持つと確信しています。
現代では、LinkedInやInstagramなどのSNSを活用し、互いにフォローし合い、近況を確認しながら適切なタイミングでメッセージを送ることで、このネットワークを維持・強化できます。卒業後物理的に離れてしまう友人たちとも、継続的な関係性を保つ上で非常に効果的な方法だと考えています。
②異なるバックグランド・異文化の人たちとのコミュニケーションをする自信
前述の通り、ドバイに来た時点で、ビジネスにおける最低限の英語コミュニケーションはできていました。しかし、それは主に同じようなポジションや役割、ITやプロジェクトの分野の方々との間に限られていました。
MBAプログラムでは、異なるバックグラウンドや多様な文化を持つ人々とコミュニケーションを取る必要がありました。この経験は、単に英語の verbal コミュニケーションの向上だけでなく、non-verbal コミュニケーションも含めた総合的なスキルアップにつながりました。
多くの機会を通じて、ITやプロジェクト管理以外の話題、例えば経済、倫理、ファイナンスなどについても議論に参加できるようになりました。当初はクラスでの発言に抵抗がありましたが(恥ずかしい、考えがまとまらない等様々な不安な気持ち)、次第に考えがまとまっていなくても、とりあえず話し始めて自分の考えを伝えられるようになりました。(日本語でも時々、考えがまとまらなくてもしゃべりたくなることがありますよね。それに近い感覚です。)
それでも、特に英語によるverbalコミュニケーションはマストで、このあたりの上達や感覚の変化は、こちらの記事にまとめています。
③MENAに関するニュースやインターネットだけでは得られない生の体験
せっかく中東ドバイに行くのであれば、近隣諸国や都市を回りたいと、プログラム参加前から思っていました。それは中東やMENAエリアに関する興味ももちろんですが、日本からの渡航と比べると格段にリーズナブルだからです。(航空券・時間)また、日本に戻って仕事をした場合、このようなチャンスは巡ってこないかもしれないのでこの機会を逃さず動こうと思っていました。但し、2年のプログラムを10か月に短縮している超ハードなプログラムと海外居住という不慣れな環境もあり、最初の3-5か月はほぼ動けませんでした。。
しかし、後半になると、慣れとプログラムへの余裕ができ、それまでの鬱憤を晴らすかのように、以下の都市をスケジュールの合間を縫って訪れました:
■訪問都市
・UAE(アブダビ、シャルジャ)
・オマーン(マスカット)
・エジプト(カイロ、ルクソール、アスワン)
・イギリス(ロンドン)
・韓国(ソウル)
・サウジアラビア(リヤド、ダンマーム、ジュベイル、ヤンブー、ジェッダ、メディナ)
特にサウジアラビアは最近まで旅行ビザの取得が難しく、敬虔なイスラム国家として知られています。そのため、こんなにも多くの都市を回れたのはラッキーでした!ちなみにここで日本人らしき人は見かけませんでした(笑)
一旅行者として自分の足で歩き回り、五感をフルに使って体験できたことは非常に貴重で嬉しい経験でした。自国や他国との比較を通じて、様々なテーマについて多角的な視点を得られたと感じています。
その土地特有の街並みや夜景の美しさ、朝の静寂や人々の喧騒、土や風の匂い、ローカル料理の味、そして人々の温かさや新たな出会い、、これらの体験全てが私の大切な財産となりました。
まとめ
以上述べたように、仕事を辞め安定した収入を手放し、海外のインターナショナルスクールでMBAを取得することは、必ずしも誰にとっても良い選択肢とは限りません。特に、私のように日本に残る家族への負担は大きくなるためです。
しかし、長年抱いていた興味や挑戦心が原動力となりこの決断を下しました。結果として、お金では買えない貴重な経験を得ることができました。この挑戦を尊重し、支えてくれた家族には心から感謝しています。
English Version
From September 2023 to August 2024, I spent about a year in Dubai, pursuing an MBA at an international business school. I’d like to share three key takeaways from this experience, primarily for Japanese individuals interested in overseas business schools or the MENA region.
Key Takeaways:
- A global network of friends and colleagues for post-graduation collaboration
- Confidence in communicating with people from diverse backgrounds and cultures
- First-hand experiences in MENA that go beyond news and internet information
Gained | Before | After |
Network | Centered on Japan/Japanese | Built and expanded with non-Japanese overseas |
Confidence in cross-cultural communication | Reluctant to communicate (high resistance) | Little difficulty in communicating (low resistance) |
MENA experience | Information as text and images from distant countries (secondary information) | Experience using all five senses (primary information) |
My Background:
Prior to this, I had no long-term overseas experience, just a few short business trips. I worked for 14 years at a major Japanese IT company and 3 years at a large consulting firm. Driven by curiosity and a desire for challenge, I quit my job to enroll at Hult International Business School. My English skills were limited to basic business communication with international clients.
①Building a Global Network:
The first six months of the 10-month MBA program were particularly intense. Daily interactions with cohort members (about 50 people, only 2 Japanese including myself) through classes, team activities, and off-campus events helped us form close bonds.
Interestingly, the Japanese tendency to view everyone as “very different from oneself” abroad actually increased tolerance for diversity. Age and nationality weren’t barriers but simply aspects of individuality.
We also had opportunities to interact with students from other cohorts and campuses, expanding our networks beyond expectations. Post-graduation, we maintain these connections through LinkedIn and Instagram, which I believe will prove invaluable in the future.
②Confidence in Cross-cultural Communication:
While I had basic business English skills upon arrival in Dubai, they were limited to IT and project management contexts. The MBA program required communication with people from diverse backgrounds and cultures, improving not just my verbal English skills but also non-verbal communication.
I learned to participate in discussions on various topics like economics, ethics, and finance. Initially hesitant to speak in class, I gradually became comfortable expressing my thoughts, even when they weren’t fully formed.
First-hand Experiences in MENA:
I was eager to explore neighboring countries and cities, both out of interest in the MENA region and because it was much more affordable and time-efficient than traveling from Japan. Despite the intensive 10-month program (condensed from 2 years), I managed to visit several places in the latter half of my stay:
UAE (Abu Dhabi, Sharjah)
Oman (Muscat)
Egypt (Cairo, Luxor, Aswan)
UK (London)
South Korea (Seoul)
Saudi Arabia (Riyadh, Dammam, Jubail, Yanbu, Jeddah, Medina)
Visiting Saudi Arabia, which only recently opened for tourism, was particularly eye-opening. As a traveler, I gained invaluable experiences and perspectives by fully immersing myself in these cultures.
The unique cityscapes, night views, morning quietude, bustling crowds, local scents, flavors, and the warmth of people I met – all these experiences have become my precious assets.
Conclusion:
While quitting a stable job to pursue an MBA abroad isn’t the right choice for everyone, especially for married individuals like myself, it was driven by long-held interests and a spirit of challenge. The result was priceless experiences that money can’t buy. I’m deeply grateful to my family for supporting and enabling this adventure.