こんにちは、AI・データ研究家のMiino.です。
2025年4月9日から11日にかけて、ラスベガスのMandalay Bay Convention Centerで開催されたGoogle Cloud Next 2025に初参加してきました。Google Cloudの歴史上最大の30,000人の参加者を迎えたこの巨大イベントは、まさに「AIの未来を体感する3日間」でした。
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Google Cloud Next 2025 概要
Google Cloud Next 2025は、Google Cloudの年次フラッグシップカンファレンスとして、3日間にわたって世界中のクラウド技術の専門家が集まる最大規模のイベントです。今年は700のセッション、350以上のスポンサーパートナーによる展示が行われ、40以上のセキュリティ分野のブレイクアウトセッションも含まれています。
キーノートスピーチ、技術ワークショップ、ハンズオンセッション、そして業界のトップスピーカーによる講演など、多様なプログラムで構成されています。AI・機械学習、データ分析、セキュリティ、インフラ現代化などの最新トレンドを、理論だけでなく実践的に学べる貴重な機会となっています。
Wrap Up記事(英語)はこちら
オープニングキーノートの10分動画です。要点がまとまっています。
私が参加した理由
ビジネススクールでのBusiness Analytics修士号プログラムの半年間が終了し、帰国を控えたタイミングで、ちょうどこのイベントがラスベガスで開催されることを知りました。在学中にもGoogleの様々なイベントに参加し、GDG(Google Developer Group)での活動を通じてGoogleのテクノロジーやコミュニティに親しみを感じていたため、この機会を逃すわけにはいかないと思い参加を決めました。
AI・データ研究家として、最新のトレンドを現地で体感し、グローバルな視点でのインサイトを得ることが目的でした。
Day 1(4月9日): オープニングキーノートで感じた「本気度」

カレンダーをめくるように始まった初日。Google Cloud CEOのThomas Kurianによるオープニングキーノートの会場に足を踏み入れた瞬間、その規模感に圧倒されました。
単なる製品発表を超えた「エコシステム戦略」
印象的だったのは、新機能の紹介だけでなく、実際のクライアント事例が豊富に紹介されたことです。例えば、マクドナルドのデータ・AI活用事例では、具体的なROI向上の数値が示され、AIが「実験段階」から「実用段階」に完全に移行していることを実感しました。
NVIDIAをはじめとするパートナー企業との連携発表も相次ぎ、Google Cloudが目指すのは単なるクラウドサービスではなく、包括的なAIエコシステムであることが明確に伝わってきました。

会場で感じた「ライブ感」
何よりも印象的だったのは、アリーナ全体が生み出す一体感です。大型スクリーンに映し出されるライブデモに、会場からは自然と拍手や歓声が。まるでコンサート会場のような熱気に包まれ、DJの演奏と共に技術の未来を体感する、エンターテインメント性溢れる体験でした。



Day 2(4月10日): デベロッパーキーノートで見えた技術の深層
「Gemini and beyond」が示す方向性
大型スクリーンに映し出された「Gemini and beyond: Your favorite tools and models」というメッセージが象徴的でした。GoogleのAI戦略は、Geminiを中心としながらも、開発者が既に慣れ親しんだツールとの統合を重視していることが分かります。

BigQueryとOSSの融合によるAIレイクハウス
特に注目したのは「Build an open, unified AI lakehouse with BigQuery and OSS」というセッション。データの民主化とAIの民主化を同時に実現しようとするGoogleの野心的な取り組みが見えました。また、「From vision to reality: AI-driven customer experience transformations」では、実際のビジネス変革事例が紹介されました。

スピーカーセッションから得た重要な気づき
3日間を通してクライアント企業のスピーカーセッションに積極的に参加しました。Google Cloudを中心としたデータ・AIによるビジネス変革の取り組み状況を直接聞けたのは貴重な体験でした。
特に印象的だったのは、多くの企業が「データとAIをセットで進める重要性」、そして「まずはデータ整備から始めることの重要性」を強調していたことです。AIの技術的な華やかさに目を奪われがちですが、成功している企業ほど地道なデータ基盤の構築から始めていることが分かりました。
今後データ・AIプロジェクトに関わる際は、この教訓を忘れずに取り組みたいと思います。
実際に触れる体験の価値
ハンズオンセッションでは、単に機能を学ぶだけでなく、実際のビジネス課題にどう適用できるかを体感できました。これは資料やオンラインセミナーでは決して得られない価値だと感じます。

Day 3(4月11日): 未来を感じさせるAIエージェント体験
最終日は、展示ブースを中心に周り説明員の方と会話しながら体験と理解を深めるように努めました。
「Build an AI Agent」の衝撃
展示エリアで体験した「Build an AI Agent」は、想像以上に直感的でした。コーディング経験の少ない人でも、ドラッグ&ドロップの操作でAIエージェントを構築できる仕組みは、AIの民主化を象徴する体験でした。

Veo2とImagenの表現力
「’Veo2′,’Imagen’ experience」では、実際に参加者がでステップバイステップで自分の好きな画像や動画を作成できる体験でした。OpenAIのSoraのようなイメージでしょうか。アシスタンスの方が丁寧に説明してくださり、簡単に作成できました。10秒程度の動画でしたがすぐに仕上がり、素人目に見てSoraとあまりそん色ないかなという印象でした。

「The next big thing」への期待感
会場の至る所に掲げられた「The next big thing」というメッセージ。これは単なるキャッチコピーではなく、参加者全員が共有した実感だったと思います。


現地参加で得られた「洞察」
1. エンタープライズAIの実用化加速
200以上の製品、顧客、エコシステムの発表を目の当たりにして、AIの実用化は「これから」ではなく「今まさに」起きていることを実感しました。特に金融、小売、製造業での具体的な成功事例が数多く紹介され、業界を問わずAI活用が標準化していることが明確になりました。日本での取り組みの範囲やスピード感などは今後比較していきたいと考えています。
2. エンターテインメント性の戦略的重要さ
技術イベントでありながら、DJの演奏や映像演出など、エンターテインメント要素が随所に散りばめられていました。これは技術の普及において「楽しさ」「親しみやすさ」が重要であることを示していると感じました。
3. オープンエコシステムの真価
「オープンアプローチをAIに常に取っており、エージェンティックAIにも同様のアプローチを適用している。Next ’25での今週のアップデートにより、マルチエージェントエコシステムを可能にするため、エージェンティックAIスタックのあらゆる層でパートナーを統合している」している戦略から、Googleが単独での技術独占ではなく、協調による価値創造を重視していることが分かりました。
“We’ve always taken an open approach to AI, and the same is true for agentic AI. With updates this week at Next ’25, we’re now infusing partners at every layer of our agentic AI stack to enable multi-agent ecosystems.”
Google Cloud Next ’25 – a recap
参加を検討している方へのアドバイス
1. 宿泊について
私はOYOホテルに宿泊しました。会場まで徒歩20-30分程度かかりますが、非常にリーズナブルでおすすめです。MandalayBayなどの近接ホテルは便利ですが価格が高騰するため、少し離れた場所からUberを利用するのも現実的な選択肢です。
2. 服装・持ち物のアドバイス
4月中旬とはいえ、ラスベガスは想像以上に暑かったです。日中は30度近くまで気温が上がっていたと思います。帽子・サングラス・日焼け止めは必須です。特に徒歩移動を予定している方は、しっかりとした日焼け対策をおすすめします。会場内は空調が効いているため、温度調節しやすい服装を心がけると良いでしょう。

3. 会場での実用的なティップス
荷物預かりについて Mandalay Bayでは荷物の預かりサービスがありますが、朝の開場時間近辺では列ができていました。時間に余裕を持って、少し早めに到着することをおすすめします。
食事・飲み物事情 会場周辺にはスターバックスやレストランがあるのでランチには困りません。しかし実は会場内のサービスが非常に充実しています!
- 無料コーヒーやクッキーのサービス
- お昼時には無料ランチ(サラダボウル、バナナ、その他様々なメニュー)
- Googleのノベルティグッズも多数配布
特に無料ランチのクオリティは高く、外で食事を取る必要がないほどでした。これらのサービスも、参加費に含まれている価値の一部と言えるでしょう。

4. 費用対効果を高めるコツ
- 学生割引: 大幅な割引が適用されます
- アーリーバード: 早期申込みで$999、その後$2,099まで上昇
- 企業スポンサーシップ: 所属企業の協賛があれば活用を
- 会場サービスの活用: 無料の食事・飲み物サービスを最大限活用すれば、食費を大幅に節約可能
5. 来年参加予定の方への具体的アドバイス
- 事前準備: セッションカタログが事前に公開されるので、早めに参加したいセッションをチェック
- ネットワーキング: 名刺を用意し、積極的な交流を
- 体調管理: ラスベガスの強い日差し対策と、会場内外の温度差に注意
- 時間管理: 人気セッションは事前予約による早めの席確保を、荷物預かりも余裕を持って
6. 来年の予定
Google Cloud Next 2026は2026年4月22-24日にラスベガスで開催予定のようです。(2025年6月現在)引用元
まとめ:AIの未来は「体験」から始まる
Google Cloud Next 2025は、単なる技術イベントを超えた「未来体験」でした。10以上のキーノートとスポットライト、700のセッションを通じて、AIが私たちの仕事や生活をどう変えていくのか、その答えは資料やニュースではなく、実際に触れ、感じ、他の参加者と共有することで初めて見えてくるものだと実感しました。
そして複数のスピーカーセッションに参加して感じたのは、ユーザー企業のデータとAIを使った取り組みが決して一筋縄ではいかないということでした。多くの企業が語っていたのは、簡単にはAIでの効果は出ず、試行錯誤を重ねながらも、積極的にリスクを取ってチャレンジし、粘り強く続けていることの重要性でした。
来年のGoogle Cloud Next 2026も、チャンスがあればぜひ現地で体験したいなぁと思います。そして、このレポートを読んでくださった皆さんにも、機会があればぜひ現地参加をお勧めします。
AIの波は確実に来ています。その波に乗るために、まずは「体験」から始めてみませんか?
このレポートが皆さんのAI活用の参考になれば幸いです。質問やご感想があれば、ぜひコメント欄でお聞かせください!
