海外MBA

【卒業後の出口戦略】就職活動を赤裸々に公開

免責事項: これは私個人の体験談です。すべての方に当てはまるものではなく、また、現在の勤務先とは関係のない個人的見解となります。

みなさん、こんにちは。Miino.です。

2025年8月から新しい環境で働き始めて1週間が経ちました。今回は、1.5年の海外ビジネススクール後の就職活動について、率直な体験をお伝えします。

これは成功事例として書いているわけではありません。むしろ、8か月間にわたって理想と現実のギャップと向き合い続けた記録として、実際に新しい会社・職場で働き始めた今だからこそ振り返ることができる内容だと言えます。

対象読者:

  • MBA取得を検討している方
  • 現在ビジネススクール在学中の方
  • 「出口戦略」に不安を感じている方
  • 特に①ミドル(30代半ば以上)で、②帰国・日本で就職、③年収アップを目指す方

私の状況

キャリアの流れ

国内大手SIer(14年)国内大手コンサルファーム(3年)退職・海外ビジネススクール(1.5年)就職活動(8か月)

  • 40代前半、転職経験は5年ぶりで、今回で2回目
  • 無職期間1.5年(私費でのビジネススクール期間)
  • タイムリミット:2025年4月末に日本帰国、日本で出来るだけ早く働き始めたい

先に結論:8か月で学んだ3つの重要なこと

1. デッドラインと最終防衛ラインを決めた上で長期キャリア目線で最後までチャレンジする

転職活動の長期化で最も危険なのは、期限のない不安です。私の場合、活動中期に具体的な期限設定(8月入社目標)と最終防衛ライン(前職復帰の可能性確保)を明確にしたことで、冷静に活動を継続できました。

重要なのは「無謀な挑戦」ではなく「計算されたリスクテイク」です。

2. 言葉にできないような感覚・直感を大切にする

面接や企業選択において、「論理的には良いはずなのに、なんとなく違和感がある」という感覚を大切にしてください。

最終的に内定をいただいた企業では、採用プロセスの素晴らしさや、面接を重ねる中で「ここで働くのが自然に感じられる」という感覚が芽生えてきました。この直感は重要な判断材料になります。

3. どんな結果になっても、この経験は全て自分の貴重な財産になる、という強い思いを保つ

8か月間の活動は、想定よりも時間を要しましたが、この期間で得た経験は何物にも代えがたい財産となりました。自己分析の深化、面接スキルの向上、感情コントロール、そして何より「困難な状況でも冷静に挑戦し続ける自分」への信頼感です。

MBA取得の現実:期待と実際の乖離

「海外MBA修了」という事実の限界

率直に言うと、海外ビジネススクールを修了したという事実だけでは、多くの企業は具体的な興味を示してくれません。(私の場合は)ポジションの必須条件にあるならば、選考の必要条件になるかもしれませんが、職を得るための十分条件にはならないと感じました。

実際に数多く受けた面接では、海外ビジネススクール修了をしたことについてほとんど触れられませんでした。

※年齢が若くキャリア初期段階の場合は、採用視点では違った印象になる可能性があります

予想外の価値:英語コミュニケーション能力の向上

では、キャリアアップを目指す方にとって、上のように言われると「海外ビジネススクールに行く意味は何なのか?」となります。

経験を通しての私の出した回答はこれです。

それは、英語でのコミュニケーションに対する心理的ハードルの大幅な軽減でした。

希望していた外資系企業のポジションや部門はAPAC管轄であることが多く、選考プロセスにおいて日本語以外でのやり取りが多数ありました。

恐らく今回ビジネススクールの経験がなければ、選考をスムーズに進めることは困難だったと考えています。

少し補足しますと、英語の上手い下手というよりも、大切なのは「現状の英語力で(ある意味開き直り)どう堂々と発言できるか」ということです。私の場合は、入学前・入学後(後半)で明らかにこの心理的な変化がありました。

既存経験との「掛け算」によるアピール

MBAやMBAN単体の学びや経験では、企業側へのアピールには限界がありますが、既存の実務経験との組み合わせによって自分自身の独自の価値提案を構築することができると言えます。

私の例:

  • MBAでの価値: 異文化・異なるバックグラウンドのメンバーとのチームアクティビティを通じて、複雑な状況下で物事を推進する実践的な経験値を獲得
  • MBANでの専門性獲得: データアナリティクスの実務経験はありませんでしたが、実企業データでの提案活動を通じて実践力を習得

面接では以下のような統合的なアピールを行いました:「コンサルタントとしての業界横断的な経験、MBAで培った多文化チーム運営力、MBANで習得したデータ分析専門性を組み合わせることで、多様なステークホルダーを巻き込みながら、データドリブンな意思決定から実行まで一貫して推進できます。例えば~、具体的には~」

学位そのものではなく、経験と学習の統合による独自の付加価値がポジティブに評価されたと感じています。

補足:なぜ再びテック領域に戻ったのか

ちょっとわき道にそれますが、よく質問されたのは「コンサル経験もありMBA まで取ったのに、なぜ再びテックの現場に戻るのか?」ということです。

確かに、一般的にはMBA取得後はより戦略的なポジションや経営に近い役割を期待されることが多いでしょう。しかし、MBANのビジネスアナリティクス・サイエンスコースを受講する中で、自分がテクノロジーに対して持つ根本的な興味と情熱を再認識しました。

特に現在のデータ・AI領域の驚異的な技術革新と市場の熱が、学習を進めるにつれて、私の知的好奇心と感心をどんどん高めていきました。また、この技術革新の黎明期において、実際のビジネス現場でエンタープライズ企業がどのような課題を抱え、どのようにデータやAI、テクノロジーを活用してそれらを解決していくのかを、自分の目と感覚で確かめてみたいという気持ちが強くありました。

但しこのような方向性は、すぐに腑に落ちたというよりも、何度も自己対話を重ねながら徐々に納得していったという方が正確です。下にも書きますが、本格的な活動の初期段階で違う方向に進もうとしていたところで、気持ちの違和感があり、それが消えなくなぜなのかなぁと色々考えた末にたどり着いた結論です。

いつも思うのですが、状況が常に移り変わる中で、キャリアの方向性を決める際の内的なプロセスは、一朝一夕には定まらないなぁということです。

8か月間の転職活動の経過

Phase 1: 方向性の模索(2024年11月〜2025年2月)

当初はコンサルティングファーム復帰を検討していました。しかし、業界研究や転職エージェントの情報、自己対話を進める中で、「せっかくMBANでデータアナリティクス・サイエンスを学んだのに、それを十分に活かせない可能性のある環境に戻ることは本当に適切なのか」という疑問が生まれました。

そしてデータ・AI領域により携われる可能性の高いテクノロジー企業が最適だと気づきました。

この時期に下したコンサルティング業界を受けないという決断が、その後の活動の方向性を決定づけることになりました。

Phase 2: 外資Tech企業への挑戦(2月〜5月)

具体的な業界の方向性が固まり、外資Tech企業約15社に応募しました。学んだスキルを直接活かせる環境への期待が高まっていました。

いくつかの転職エージェントにも情報提供を受けましたが、私の場合は、主には自身で直接企業の採用ページからアプライしました。一部リファラルを活かし、カジュアル面談等も実施しています。

この時期は「学んだスキルを活かせる場所」への憧れが強く、複数社で選考が進んだため、前向きな見通しを持っていました。

主な応募企業の戦略的位置づけ:





Phase 3: 現実との直面と戦略の根本的見直し(6月初旬)

5月下旬から6月初旬にかけて、最終段階まで進んでいた企業から、ポジションとの適合性の観点で残念ながらご縁をいただくことができませんでした。

この時期は、理想と現実のギャップを受け入れながら、具体的な優先順位の再設定を迫られました。特に「家族への責任」と「個人のキャリア挑戦」のバランスをどう取るかという根本的な問いと向き合うことになりました。

学んだこと: 少数の企業に集中して進めることの価値を感じる一方で、並行して次の選択肢の準備も進めておくべきだったと反省しています。

但し、面接対応(プレゼンや広範囲・詳細なプロジェクト説明等)に終われそれどころではなったという状況も今思うとあります。あとは”どちらかは受かる”という楽観的な思いだったことも影響していたと今は分析できます。

当時のメモを見ると、その時の心境がよく表れています:

■求めること(当初の理想)
インターナショナルな企業・チームで、データ/AIに携わる領域で、
これまでの経験・強みを発揮できるロールで、競争力のある報酬を希望

■現実
→全滅!!
がーん・・・

■整理・前提(というか気持ち)
・正社員として、生計を支えることが可能な報酬を得られること
 ※就職して、安定収入を得てまずは安心させたい
 ※主生計のために、いきなり個人事業主や起業はしない
 ※生活防衛貯金は、少なくとも当分は余裕はあり
(焦るな!)

・但し、大幅な年収ダウンは避けたい(許容ライン -20%程度か、)
・全くキャリア上にプラスにならない、後退する選択は避けたい
 (焦って安売りしたくない)

→結局何をとるか→優先順位の問題
 ・すぐ就職  
 ・チャレンジ継続

→ゼロサムでも、01ゲームではないはず
 →あとはそのとった優先順位でどう納得し、気持ちを整理できるか
  満点回答(冒頭の希望)は難しい現実を受け入れる必要がある

ハイブリッドで条件付きチャレンジ継続が現実的か

Phase 4: 戦略の再構築と優先順位の明確化(6月中旬〜7月)

ポジションマッチングの課題を受けて、まず具体的な選択肢を整理しました:

優先順位案の検討:

  • 案1:家族の安心優先 → 現実的企業、7月中旬入社目標
  • 案2:長期キャリア価値優先 → チャレンジ企業継続
  • 案3:バランス重視(案1と2の折衷) → 条件付きチャレンジ継続、活動期限設定

最終的に案3のバランス重視を選択し、以下の方針を決定しました:

  1. 活動期間を1か月延長(8月入社目標)
  2. チャレンジ企業への挑戦を継続
  3. より現実的な選択肢も並行検討
  4. 最終防衛ライン(前職復帰等)の確保

この判断において、信頼できるキャリアエージェントからの「今諦めたら絶対後悔する。1か月延長は十分現実的」というアドバイスが背中を押してくれました。

成功に至った要因の分析

最終的な結果

  • 企業特徴:外資系テクノロジー企業
  • 応募方法:企業HPからの直接応募
  • 期間:3週間程度(6月上旬応募)
  • 選考プロセス:3段階4回の面接

成功要因

  1. 面接経験の蓄積:4-5月申し込み企業での面接経験が準備効率化に寄与
  2. 自然体での対応:過度なアピールではなく、率直なコミュニケーション(再開後の次点という事もあり過度なプレッシャーを自分に与えすぎなかった)
  3. 企業文化との適合性:価値観と働き方の一致

転職活動から得た重要な学び

1. 現実的な目標設定の重要性

当初から非現実的な目標設定はしていたつもりはありませんが、達成可能なストレッチ目標を見定めることが重要でした。この設定プロセスにおいて、自身のキャリアの客観的評価と市場調査が不可欠でした。

2. 支援体制の構築

転職活動は個人的な挑戦ですが、信頼できる人々からの支援なしには成功は困難でした。

具体的には:

  • 元同僚やビジネススクール友人:リファラル・内部情報の収集・励まし合い
  • キャリアエージェント:キャリア志向を理解した現実的なアドバイス
  • 転職エージェント:具体的な現実的な採用情報

3. 家族・周囲との関係性管理の重要性

転職活動の長期化に伴い、家族や周囲との関係性管理が重要な課題となりました。転職活動は個人的な挑戦ですが、家族がいる場合は「家族プロジェクト」として進める必要があることを学びました。特に5月6月は精神的負荷は想像以上でした。

重要だったのは:

  • 家族に対する率直な状況共有
  • 活動延長に対する理解と協力の獲得
  • 最終防衛ライン(最悪の場合の選択肢)の明確化による安心感の提供

転職活動の長期化に伴い、家族や周囲との関係性管理が重要な課題となりました。

4. 無職状態での転職活動の特殊性

在職中の転職活動とは質的に異なるストレスがあります!無職での転職活動は初めてでした!私の場合ビザ等の制約はない一方、逆に時間的制約が少ない分、精神的プレッシャーが持続的に続く特殊な状況でした。

特に序盤は感じなくとも、面接がうまく進まない、内定が取れないなどが続くと、じわじわと真綿で首を締められていくような気持ちになりました。

例えばこんな状況や気持ち:

  • 待たされるという状況(理性的には、待ちの間に何か行えばよいのですが、気持ち的には、それが結構難しい、、)
  • 金銭面への恒常的な不安(仮にしばらく余裕があったとしても)
  • 周囲からの視線(過剰反応かもしれません)
  • 自分の市場価値への根本的な疑問(ご縁や相性というファクターがあるのですが、やはり自信を保つことの困難さというか、なんというか、、)

重要なのは感情面をある程度コントロールしながら冷静に戦略を練り直すことでした。

5. 優先順位の明確化と妥協点の設定

活動中期の課題を通じて学んだ最も重要なことは、理想的な条件をすべて満たす選択肢を求めるのではなく、自分にとって本当に重要な要素の優先順位を明確にすることでした。

当時のメモにある「ゼロサムでも、0-1ゲームではないはず」という記述が示すように、完璧な答えではなくとも、自分が納得できる解を見つけることの重要性を実感しました。

感情面をある程度コントロールしながら冷静にメモに書いたような、戦略を練り直す。勿論ChatGPTと会話しながら、可能な限り思考の整理をしていきました。そして信頼のおけるキャリアエージェントと会話して微修正と確認作業を行うという事でした。

これから出口戦略を検討される方へ

MBA検討中・在学中の方に向けて

ビジネススクール・MBA取得が自動的に理想的なキャリアを保証するわけではありません。しかし、適切に活用すれば確実に選択肢を広げることができます。

重要なのは:

  • 明確な目的意識を持って学習に臨むこと(面接をイメージして英語コミュニケーションの向上等)
  • 在学中から卒業後の戦略を明確に検討すること(一人で難しければ、早めに相談)
  • 学位取得だけではなく、学習内容と既存スキル・経験の統合(できれば実践まで)を意識すること

転職活動中の方に向けて

困難な時期には:

  • 信頼できる人への率直な相談(アドバイスをもらうというよりも、気持ちの吐き出し、思考の整理)
  • 短期的な妥協を避ける意識(但し、期限を区切ってだらだら無制限に続けないことは重要)
  • 長期的視点での柔軟性の維持(いくつか着地点をイメージしてオプションをつくっておく)

結論:投資回収の現状評価

現時点での成果(8月入社後の実感を含めて)

  • 期間:予定より1か月延長の8か月
  • 年収:目標は達成
  • 環境:外資系テクノロジー企業、
  • 満足度:困難な過程を経て、実際に働き始めた今、高い納得感を実感

実際に新しい環境で働き始めてみて、転職活動中に感じていた期待と現実のギャップは思ったより小さく、むしろ想像以上にやりがいのある環境であることを実感しています。やはり冒頭に記載した、感覚・直感を信じてよかったと思います。

投資の最終的な評価にはもう少し時間が必要ですが、これまで書いてきたように、転職活動において1.5年間の経験は確実に差別化要因として機能しました。そして過去の記事にも書いていますが金銭面以外の得られたものも大きく全く後悔はありません。

最後に: 同じような挑戦を検討されている方々の参考になれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございます!また次の記事でお会いしましょう!

注記: 本記事は個人の体験談であり、すべての方に適用されるものではありません。転職活動や投資判断は、ご自身の状況を十分にご検討の上で行ってください。